2015年12月29日火曜日

ニューロサイエンスで更に仕事の能率をあげる方法!!! 



前回のニューロサイエンスで仕事の能率をあげる方法
引き続き、今回は身体やまわりの環境から考えてみたい。

オージーのエクササイズ嗜好

オーストラリアに来て驚いたことのひとつに
ランニングや個人トレーナーをつけてエクササイズをしている人が多いことだ。

あるとき個人トレーナーをつけているオーストラリア人女性に
なぜそんなにエクササイズが流行っているのか?と聞いてみたことがある。

「オージーはfat(脂身)をたくさん食べるから、その分余計に運動しないとダメなのよ」
と半分冗談を言いながら話していたが、確かにレストランなどで出てくる量をみてると
それも本当なのかなと思うことがある。

エクササイズでもうひとつ面白いなと思ったのは、
昼休みに会社の同僚たちが集まってエクササイズをしていることだ。
私たち夫婦の住むノースシドニーは、大きなの企業が集まるビジネス街なのだが、
昼間に歩いていると、運動着に着替えた集団がランニングをしているところを良く見かける。

アメリカ人に知り合いにこの話をしたら、
「なんでわざわざ昼休みに運動するのか理解に苦しむ」といっていたが、
私も「そうだその通りだ!」とつい最近まで思っていた。


身体と心を整える

オージー達の昼間のエクササイズの真意は「身体の健康」にあるのだと思うが、
実は、仕事の能率をあげる上で、エクササイズは重要な役割を担っている。

心拍数をフルにあげるのではなく、フル稼働から6割程度の運動を20分やるだけで、
集中力が増し、複雑なタスクをやり遂げるための自己コントロール機能が鋭敏になるそうだ。

特に運動後、心拍数が正常にもどったところから
知的労働に欠かせない集中力や自己コントロール機能が活発になるので、
例えば重要なプロジェクトの立案や複雑な意思決定を伴う会議の前に
ちょっと外に出てウォーキングをして帰ってくるだけで、
そのあとの仕事の能率をあげることができるというわけだ。

さらに、マイルドなエクササイズは緊張を和らげる効果もあるので、
重要なプレゼンの前にも効果がある。

自分の極限に挑戦するような運動を昼休みにやれば、
それだけで身体もメンタルエネルギーも使い切ってしまうので
おススメできないが、重要な仕事の前のマイルドな運動は、かなり効果がある。

エクササイズと仕事の効率


私の場合、仕事ではないのだが、
学校で出された論文の構想やリサーチでかなり複雑な分析や思考を必要とする部分を、
比較的メンタルエネルギーのある午前中のタスクとして持っていき、
自宅でやるのではなく、あえて歩いて20分かかる図書館に行ってやることにしていた。

図書館までの道のりが緩やかな上り坂なので、
着くころにはかすかに汗ばむ程度の状態になっている。
確かにそのあとの集中力はなかなかのもので、
リサーチしたペーパーや教科書の予習なども非常に効率的にこなすことができた。


カフェインの威力

続けて図書館での話になるが、
こちらの図書館にはカフェが1階のテラスに併設されていて、
館内にも持ち込みが可となっている。

図書館に行って勉強するもうひとつの愉しみは、
実はこのカフェで珈琲を買って、いつもの場所で珈琲を飲みながらタスクに取り掛かることだ。

実は、このカフェインも仕事の効率をあげるのに大きな役割がある。
こちらは毎日習慣としてカフェインを摂取している方に限るが、
珈琲一杯か二杯くらいであれば、摂取後30分後ぐらいから脳が活性化するので、
その日どのようなタスクをやるかによって
タイミングを計って飲むのもひとつの方策かもしれない。

ただ、疲れているからと言って普段以上のカフェインを摂取しても
効果が持続するわけではないので、取り過ぎに注意したい。


注意をそらす環境を避ける


図書館にいると静かで誰にも邪魔されないというのも知的生産性に大きく寄与している。

たまにシドニーCBDの学校に行って勉強することもあったのだが、
あそこに行くと必ずと言っていいほど、クラスメートから声をかけられて、
集中を妨げられるので、最終的に学校で重要なタスクをするのはやめた。
社交にはいいかもしれないが、仕事の生産性をあげるには、
誰にも邪魔されず静かな場所が一番だ。

前回のマルチタスキングのところでも述べたが、
集中を断続的にそがれると学びに必要な脳神経同士の
新しいネットワークの形成が妨げられ
複雑な状況に対する臨機応変な対応もできなくなる。

静かで誰にも邪魔されない状況をつくるのが難しければ、
場所をかえる、ノイズカッターなどのヘッドフォンを使うなど
工夫してみるとよいのではないか。

邪魔は何も物理的なものに限らない。
メールの新着お知らせなども知的活動を妨げる。
例えば会議中に携帯をオンにしてポケットにしまっているだけでも、
誰かから急ぎのメールが来ていないだろうかとバックグラウンドで考えてしまうので、
それだけでIQを15ポイントもおとしてしまっているというリサーチ結果もあるくらいだ。


机の上の混乱は、心を乱す

机のうえの散らかり具合もまた、仕事の効率に関係してくるのをご存知だろうか。

机にあるのは、それぞれやりかけのタスクやら、いつかやらなければないタスク、
時間があれば読もうと思っている記事の切り抜きなど
それぞれのものが雑多に目の前にあると、そのたびに注意を削がれてしまう。

特にメンタルエネルギーが消耗されて疲れてくると集中力がなくなり、
机に転がるこれらのタスクに注意が移ってしまう。
集中力を持続させるのは脳にとってとてもエネルギーのいる作業なので、
この作業に移る前に必ずまわりを片付けること。


Power of Posture

最後に大きい仕事の前にどうしてもモチベーションが上がらない、
または、プレゼン前で緊張するなどネガティブな感情が出てきた時には、
エキスパンシブ・ポーズといわれる姿勢を二分間やることをおススメする。

手を腰にあてて顎をあげて偉そうな人のポーズを真似てみるだけでよいのだが、
このようなポーズをまねするだけで、ストレスホルモンのコルチゾールが減少し、
男性ホルモンのテストステロンの分泌が増えるそうだ。

結果としてポジティブな心理状態になり、仕事のパフォーマンスにもプラスに作用する。

Ted Talkで「姿勢の威力(Power of Posture)」について大変興味深い研究の話がでているので
こちら是非参考にされたい。

"Your Body Language Shapes Who You Are"



まとめ


  • 20分程度のマイルドなエクササイズは、緊張を和らげ、集中力を増す効果があるので、重要なタスクの前に行うのが効果的



  • カフェインを常用している方には、摂取後30分で脳の機能が鋭敏になるので、戦略的に飲むタイミングを考えたい。ただ、取り過ぎは効果なし。



  • 重要な仕事(分析的な仕事、複雑な意思決定)の前には、机のまわりを片付ける。注意を妨げるノイズやメール、ひとの気配などできるだけ避ける。(クリエイティブな仕事の場合を除く)



  • 仕事の前に2分間だけ「支配者のポーズ」をやってポジティブなマインドセットを創りだそう!
参考文献

Davis, J. (2015), Two Awesome Hours: Science-based Strategies to Harness Your Best Time and Get Your Most Important Work Done, Harper Collins.

2015年11月25日水曜日

ミュージカル「Matilda」を観に!!


シドニーでアートを楽しもう!

私たちの住んでいた黒姫とは対照的なノースシドニー。
ここに住んでいて楽しいことのひとつに、
ハイレベルのアートパフォーマンスに触れられることがある。

こちらに来てから、シルクドソレイユの「TOTEM」に始まり、
「王様と私」、「アイーダ」、「レ・ミゼラブル」と素人でも名の知れたオペラやミュージカル、
また、映画トワイライト・サガの俳優が主演のコメディ「The Dog The Cat」
(別居中夫婦の飼い猫が突然コトバを話し出すとんでもなく想定外のコメディ)を観たりと、
夫婦ふたり、または仲良くしているクラスメートカップルと出かけたりと
勉学とは別にシドニーライフを存分に楽しませてもらっている。

これらのパフォーマンスが行われるオペラハウスCapitol Theatreは、
建物のデザインも特徴があるので建築好きなら内側からディテールを観るだけでも
かなり良い刺激になるのではないだろうか。

ミュージカルMatilda!

レ・ミゼラブルでかなりミュージカルの迫力のとりこになってしまい、
今回は、MBA最後の試験終了祝いということで、
翌日、ミュージカル「Matilda」を観に行った。



こちらは、Theatre Lyricというダーリンハーバーのカジノ施設に併設した
新しいコンプレックスで公開していたのだが、
私たちの住むノースシドニーからはフェリーに乗り、次の船着場で降りれば良い。

会場に着くと多くの子ども連れ家族が来ていた。
「しまった!選択を間違ったかな・・・」と私。

今回のミュージカルは、マチルダという小学1年生の女の子が
不幸な家庭環境や学校のルールに果敢に立ち向かう話。

「子ども向けか?」と一瞬思ったが、ふたを開ければ全くそんなことはなく、
むしろ、子ども達に全体のテーマが伝わっただろうか?と思うほど
なかなか深くて、面白い話だった。

ストーリーラインだけ追っていれば、普通に面白かったで済むと思うが・・・
私なりにハイライトを考えてみると・・・次のようなことが心に残った。

子ども達を、社会に適応できていない不完全なNuggets
(KFCのあのチキンナゲットように小さな塊という意味)
といって子ども達をルールでがんじがらめにする男勝りの女性Principal(校長)。
中身より見た目が大切と言い張って、読書好きで賢いマチルダの本質に気づかない両親。

そんな中、内気で自分に自信のない先生が、
マチルダの才能に気づいて伸ばそうとするひたむきな心。

ステレオタイプ的な型にはめたがる大人たちに
クリエイティブでちょっと茶目っ気ある戦略で
カウンター攻撃する子ども達の姿が活き活きと描かれていて
大人になっても失ってはいけないものを
子ども達から教えられる、というところが見所だったのではないかなと。



英語習得を超えること

もう一つミュージカルのよい所は、役者さんがはっきりと英語を発音しているので
リスニング強化にもってこいだというところだ。
特に日本人は、私も含めだが、いきなりアカデミック英語に行ってしまい
ジェネラル(一般的な)英語が使いこなせない。

このギャップを埋めるためにも、学校以外の環境で
英語を使う方法を自分なりに創りださなければ上達しない。

今回の公演を観て、最初こちらに来たてのころよりも
はるかにヒヤリングが良くなっているのがわかった。
ジョークを聴いて、まわりの観客と同じところでわっはっはと
笑えるようになると、単に「英語を聴くこと」を超えて、
そのコトバのコミュニティにどっぷりと浸かってる感があって
日本ではなかなか味わえない感覚がある。
実践英語は、こういう感覚を味わいながら、
頭で覚えるのではなく身体で習得するものだ。

Education kills creativity

Matildaを観ていて、ふと思い出したのが、
Ted Talkで今の教育は子どもの
クリエイティビティ(創造性)をないがしろにしているという
サー・ケン・ロビンソンの話。彼の主張は、読み書きを教えるのと同じくらい
子どもの芸術センスやクリエイティビティに重きを置くべきだということなのだが、
そのなかでのエピソードが面白い。

5歳くらい(記憶が定かではないが)の子が絵を描いていて、
先生が「何を描いているの?」
とその子に聴いたところ、「神様の絵を描いているんだ」と。
それに対して先生は真面目な顔をして、
「でも私たちは神様にあったことさえないのだから、どんなかわからないはずでしょ?」
そうしたら、その子はそっけなく
「You would know in a minute! (もうあとちょっとで、どんなんかわかるよ!)」
と返されたそうだ。
彼が今描いているのがそのまぎれもない「神様」だから。


これを聴くと大笑い。
どこでこの無限に広がるイマジネーションの世界に
狭い囲いをつけてしまったのだろうとおもってしまう。
知らず知らずに自分で自分を狭い囲いのなかに閉じ込めてはいないだろうか?



2015年11月23日月曜日

MBA 最後のExam!!

ウーロンゴンで最後のExamを受ける

先週の土曜日、最後の試験が終わり、これでMBA 全てのタスクが終了した。

最後の試験は、シドニーではなく、
シドニー・ビジネス・スクールの本校があるウーロンゴンで行われた。
ウーロンゴンは、シドニーから電車で1時間40分ほど南下したところにある。
なぜシドニー・ビジネス・スクールなのにウーロンゴンなのか。
私の通っているキャンパスは、ウーロンゴン大の分校のようなもので
要はウーロンゴン大シドニー校と言うよりも、
シドニー・ビジネス・スクールと言ったほうが知名度、
ブランド力があがるからこの名前で運用されているのだ。

他にもシドニー大のThe University of Sydney Business Schoolがあったり、
シドニーと名の付くビジネススクールが、3つくらいあるので紛らわしい。
シドニー大は、とても有名でランク的にも高い大学なので、目指す方も多いと思うが、
ウーロンゴン大というと、ちょっと田舎の大学というイメージがシドニーアンにはあるらしい。

だから、私のいるシドニー・ビジネス・スクール(ウーロンゴン大シドニー校)は、
オージーは比較的少なく、インド、中国、その他東南アジアなどからの留学生が多い。

シドニー・ビジネス・スクールの難点は?

立地とアクセスの良さ(妻の仕事場から近いなど)、予算、そしてGMATが必要ないなど
入学にかかる費用や労力を必要最低限に考えたうえで、こちらのMBAに決めたのだが、
学生に対するフォロー体制や授業の規模、科目のコンテンツにはとても満足しているのだが、
ひとつだけ難点をあげるとすれば、科目をとるタイミングによっては、
シドニー校だけでうまく履修できないということだ。

どういうことかというと、ウーロンゴン大でも同じMBAコースが行われているのだが、
履修科目によって履修する予定の生徒が少ない場合は、
ウーロンゴンに行って同じ科目を取りなさい、となってしまう。

通常、同じ講師がウーロンゴン校とシドニー校の同じ科目を掛け持ちして
週に行ったり来たりするのだが、予算の関係上2か所で行われる同じ授業を
ひとつにしてしまえ!という事態が、科目によってはあるということだ。
(私の場合、シドニー在住の教授は、12科目中2科目だけ)

3学期目までは、なんとかスムーズにシドニー校で科目を履修出来ていたのだが、
最後の4学期目でどうしても一科目だけウーロンゴンに
行かなければならない状況になってしまった。

授業の形態はインテンシブだったので、5日間(金曜、土曜)だけ行けばよかったのだが、
この5日間のうち実に4日間ともにTrack Work(路線メンテナンスで全線不通になる)
ひっかかってしまうという最悪な自体に遭遇。

しかも電車が普通に利用できた唯一の日は、
通学途中に信号機の故障で30分立往生で、授業に遅れてしまった・・・


辛口な批評をさせてもらうと・・・

あるクラスメートは、ファイナンスの科目をシドニー校の講師が厳しいらしいということで、
わざわざウーロンゴンまで行って受けに行ったりしていたが、私としては、
ウーロンゴンとは全く関係なく、シドニーで全てが履修できると思っていたので、
正直、最後の最後で肩透かしに食らったような気持だった。

1科目30万円以上の授業料を払っているのだから、
顧客に対して滞りないサービスを提供するのが本筋ではないだろうか。
それができなければ、最初から入学前に
「シドニー校だけでは、サービスを提供できないかもしれませんが、
それでもよろしいですか?」と断りをいれるべきだ。

ビジネス・スクールのわりには、このあたりの詰めが甘く、
ブランドイメージだけ優先させて、少しウーロンゴンに頼り過ぎている感は否めなかった。

シドニーでMBAを考えるとき、シドニービジネススクールは、
ウーロンゴン大に頼り過ぎていることだけが、大きな弱点ではないだろうか。
それ以外のスタッフサポートやコンテンツは、素晴らしいのでシドニー校ではなく、
ウーロンゴン大で直接受けることをお勧めする。

再びExamの話へ

ということで最後はウーロンゴンの体育館で何百人もが
他の科目の試験を受けるべく集まる中でのExamだった。
最初に受けた試験から比べれば、かなり自分の言いたいこともスラスラと
出てくるなという感じで、ライティングに関してはだいぶ成長したなと感じた。

Examでは結局、3時間で書けることも限られているので、
最低限で理解しているということを伝えることに専念して、
あまりあれもこれも書かないようにしている。
いかにExamでよくできたかが重要なのではなく、その科目の内容を
実際のビジネスにどう活かしていくかが見えたかどうか?
その科目に対してどのような学び方をしたか?が重要なので、
いつもあまりExamにはモチベーションを感じていないし、
最低限満たせばいいくらいにしか思っていない。

試験時間は3時間あるのだが、ほとんどの生徒が30分前に終了して、
先に帰ってしまっていた。
私のようにライティングが遅い者は最後まで残らなければならない。
結局最後に残った知り合いに最後の別れを告げ、帰りの電車に飛び乗った。

この日は土曜だったので、妻とノースシドニー駅で待ち合わせて、
遅いランチを外で食べることに。

「終わっちゃったなー。。。」
「クラスメートは、ヒャーやっと今日で勉強から解放されるって喜んでたよ。」
と私。

「はははははっ!そんな寂しがってるのは、あなた一人だけなんじゃないの?」
と妻に大笑いされてしまった。

確かに。。。





2015年11月10日火曜日

ニューロサイエンスで仕事の能率を上げる方法!!

間違いだらけのタイム・マネジメント

日々の仕事の中で、今日こそはこの重要なタスクを終わらせなければと
手をつけ始めたのは良いが、なかなか集中できななくて、
エンジンがかからないことはないだろうか?

こんなとき良くやるのは、to do listをつくって
優先順位を決めて、順位の高いものから始める方法などがあると思うが、
次から次へと飛び込んでくるメールが気になって
緊急なメールや部下からの相談、報告などに対応していたら、
いつの間にか最優先の仕事がまだ手つかずのまま。

それでも次から次とタスクの依頼が飛び込んできて
to do listは一向に減るどころか、増えていく一方。

それなら・・・と「隙間」時間を見つけて、
さらに緻密なタイム・マネージメントをしましょうと、
「時間」をうまくやりくりする方法は、ビジネス書の棚に多く並んでいるが、
果たしてほんとに役にたっているのだろうか?

ニューロサイエンスという新しいアプローチ

どんなに上手にそれぞれのタスクを時間で割り振っても、
人はマシンのように常に効率良く働けるわけではない。

一番効率が悪い時間に、一番生産性を要求されるようなタスクを割り振っても
さらに時間がかかってしまい、逆効果になってしまう。

仕事では、常に複雑な意思決定を行っている。
毎日同じようなルーチンであれば、
そんなに意識を集中しなくてもできる仕事もあるだろうが、
特に目まぐるしく変化するビジネス環境の中で状況を読み取って、分析したり、
これから先の計画や、商品・サービスの開発などクリエイティブな仕事は非常に複雑で
骨の折れる仕事ではないだろうか。

これらの意思決定に欠かせないのが、皆さんの「脳みそ」だ。

重量は体重のほぼ2%なのに、エネルギー消費は体全体の20%を消費している。
非常に燃費の悪い器官なので、歯を磨いたり、服を着替えたりなどの単純作業は、
「オートパイロット機能」に切り替わり、エネルギー消費を控えるようになっている。

ニューロサイエンティストによると、特に複雑な意思決定にはエネルギー消費の高い
大脳が活発に関わるので、使った後にはメンタル疲労が起きるそうだ。

これらの脳を働かせる燃料・メンタルエネルギーの量は限られている。

特にプロフェッショナルやエクザキュティブの行うような複雑な意思決定は、
このメンタルエネルギーを多量に消費し、
少なくなれば、メンタル疲労を起こし効率が下がる。

効率の下がった状態でもタイム・マネジメントの場合、
隙間時間にメールの処理などの
余計メンタルエネルギーが必要になる仕事を組み入れたりして、
残されたエネルギー量に見合ったタスクの振り分けができていないので、
最終的には不効率な仕事配分になっている。

そこで、ニューロサイエンスが進めるのは、タイム・マネジメントならぬ、
Cognitive Management=知的マネジメントだ。


Cognitive Management(知的マネジメント)とは?

知的マネジメントでは、
一日の中で自分のバイオリズムを認識し、
限られたメンタルエネルギーの使い道を意識的に分配することで、
効率的かつ生産性の高い仕事をできるようにする。

一日のすべての時間をフルに稼働するのは無理なので、
一日の仕事の中で最高の2時間を意識して創りだし、
この二時間に一番メンタルエネルギーが必要なタスクを持ってこようというのが、戦略だ。
今回は、3つのストラテジーをご紹介しよう。

1)メンタルエネルギーの消費レベルを知ろう!

Level 1:簡単なタスク

* メールチェック
* 一人と面談のアポを取る


Level 2:ちょっと複雑なタスク

* メールに返答する
* 数人とのミーティングを手配する
* 新しい思考をあまり必要としないプロジェクト


Level 3: 難しいタスク

* 新しいデータの分析
* 人事評価
* クリエイティブなタスク
* 新しい思考を必要とするプロジェクト


2)メンタルエネルギーの配分と消費タイミングを考える

例えば、重要なプレゼンや難しいタスクを行う前に、ちょっと時間があるからと
メールに返答しているとそれだけで、メンタル疲労が増すことを理解してもらいたい。

また、比較的エネルギーのある午前中にLevel 3の仕事をまわす。

特に難しい分析的な仕事は、午前中におこなう。
分析的な仕事は、まわりが片付いているほうが効率が良くなるので、
始める前にまわりを整理整頓する。

Level 3に取り掛かる前に、メールをみたり、返答したり、
ネットでニュースを読んだりするのもエネルギーを無駄遣いするのでやらないこと。

クリエイティブな仕事は、少し思考がドリフトするような状態のほうが
良いアイデアが浮かぶので、昼過ぎの眠たい時間、午後一番のほうが良い。



3)マルチ・タスクはやらない

Level 3の時には、他からの邪魔が入らないような環境をつくる。

途中で部下や同僚などに話しかけられたり、
音楽を聴くのも効率が下がるというリサーチがある。

メールの着信音やポップアップも効率を下げる原因なので、本当に重要なタスクの場合には・・・

メールを閉じる、
静かな場所に行く(自分のデスクで無理なら、会議室など)、
モノタスク(単一作業)にする。

よくマルチタスクが得意だといって自慢しながらやっている人がいるが、
あれは、別々のタスクをそれぞれ中断して交互に行っているだけだ。

ひとつのタスクを集中して行い、終わったら別のタスクをやった方が断然効率が良い。

試しに、右手で右から水平線を書きながら、左手で1,2,3と番号を書いてみたらどうか?
あるリサーチ結果で、両方別々にやった方が早く終わることが証明されている。

マルチタスキングは、仕事の能率に一番重要な「集中すること」を妨げる作用があるので、
絶対に行わないこと。

脳科学的にもマルチタスクでは、
新しいことを学んでも長期的記憶として定着しないことが証明されている。







※次回は、まわりの環境や食べ物、身体の使い方と仕事の能率を考えてみたい。


参考文献

Davis, J. (2015), Two Awesome Hours: Science-based Strategies to Harness Your Best Time and Get Your Most Important Work Done, Harper Collins. 

2015年8月25日火曜日

「できる」人ほど学ばない理由

学ばないクラスメート

MBAも3学期を終え、
早、最終章の4学期目であるT3に突入。

初めの学期には、年下のクラスメートが
小論文の書き方はどうしたらいいか?とか
どのようなアプローチでトピックを考えたらいいだろうか?など
年配ということで携帯で質問されたりしていたが、
さすがに3学期目は皆、自分がどのように課題に
アプローチしたらいいかわかってきたらしく、全く携帯が鳴らなくなった。

皆要領のいい人たちだから
一度やり方がわかったらあとは自分でその先のノウハウは
確立していくのが早いのだろう。

ちょっと頼りにされていたので、少し寂しいなと思っていた矢先、
20代のクラスメートから携帯にコールをもらった。

彼はいつも宿題提出の間際やExamの間際に電話してくる奴だ。

「Examでどこを勉強しておけばよかったんだっけ?」

要はヤマをかける場所を教えろと。

「俺は期末試験のために学んでるわけではないので知らん。」といつも言うのだが、
それでもしつこく「授業でどのチャプターをカバーしろと言っていた?」と聴くので

「そんなもん、全てウェブ上で教授が公開している資料があるから、
そこ行って自分で確かめろ!」

とあまりに幼稚な質問に頭に血がのぼってしまい、
携帯をこちらからブチっと切ってしまった。。。

同じ授業に彼もちゃんと出席していたのだから、
それ以上の情報は私も持っていない。

あとから自分も大人げなかったと、
自分のオーバーリアクションに反省したのだが、

彼が私に求めてきたのはExamの情報だけだったのだろうか・・・


ビジネスでの「学び」とは問題解決法

以前の私ならば、「失礼な奴」で終わってしまうのだが、
ここから何が学べるのかを振り返ってみると
「賢い奴ほど学べない」という現象の一部ではないかなと思うのである。

何が学べないかというと、技術や知識ではなく、
学び方自体を学ばないということである。

最近、ハーバードビジネスレビューで
「Teaching Smart People How to Learn(賢い人に学び方を教えること)」
という記事のなかで、賢い人や成功してシニアにいくほど
学ばない人々が多いというのを読んだのだが、
確かに要領のよい人、賢い人ほど学びとは何かを
理解していない人が多いのではないだろうか。

記事の中で、筆者はビジネス界で考える「学び」とは
問題解決能力のことと同義語だと思っている人が多いと思うが、
実はその問題の設定の仕方自体が問題になりえると。

MBAでもABC分析だの、ファイブフォースだ、SWOTだと
いろいろな問題分析のツールやモデルを学ぶのだが、
これだけではその前提としてある仮説や根本的な見解、
解釈がなぜあるのか?という問いには答えていない。


Single-loop Learning vs. Double-loop Learning

筆者は、最初のhow? What?という学びをシングル―プと呼び、
why?という大きな問いかけをダブルループと呼んで、
サーモスタットの例でわかりやすく説明している。

シングルループでは、サーモスタットが、27℃に下がったら
冷房が切れるというように、暑さという問題とそれに対する解決法しか存在しないが、

ダブルループでは、「なぜサーモスタットが27℃に設定しているのか?」と問いかけて、
省エネのため29℃に設定しよう!と、暑さの前提そのものの意味を
そっくり変えてしまうこともできる。

サーモスタットの例では、ダブルループ的学びも簡単そうに見えるが、
実は常に変化に富んだ不確実性の高いビジネスの現実では、
問題へのアプローチそのものに対して疑問を投げかける人はほとんどいない。
なぜなら今までの自分のプロとしてのアプローチの仕方を捨てなければならないからだ。


だから「できる人」ほど学べない

そこでとくに今までのやり方で成功してきた「できる人、賢い人」は、
失敗そのものを知らないので、失敗自体を恐れるどころか、
失敗を恐れることを恐れてしまっている。

特にこの傾向が強い人は、高校受験や大学受験でもストレートで志望校に受かり、
学業も要領よくこなし、いい成績で卒業、
就職もそれなりに有名な企業に入るようないわゆるエリート達は、
失敗に対する耐性がない。

これらのエリートたちのマインドセットは、

①すべてがコントロール可能だと思っている。
②勝つことを最大にして負けることを最小限に
③ネガティブな感情を抑圧し
④可能な限り理性的に対処しようとする。

しかし、世の中は常に変化している。

残念ながら10年前の、はたまた5年前のマインドセットのままでは、
今日の問題解決はできないことの方が多い。

現状の解決方法が叶わなくなったとき、
一番失敗から学ばなきゃならないちょうどその時に、
大きなディフェンスシステムが内側で働いてしまい、
学べなくなるのがこれらの賢い人びとなのである。


「失敗から学べ!」

シドニービジネススクールは、ウーロンゴン大学のサテライト校なのだが、
こちらシドニーのファイナンスの教授が厳しいという噂をどこかで聞いて、
シドニーから1時間半もかけて同じ授業をウーロンゴンに受けに行っているクラスメートが
何人かいた。その中に今回電話をくれた彼も入っていた。

私が思うに彼は賢こすぎるのではないか。
賢いだけに、不確実性や失敗に対する恐怖心を受け入れられないのである。

「失敗から学ぶ」。
コトバでは簡単に書けるが、
感情的には穏やかな状況では決してない。
自信もなくなるし、今までやってきたことが完全に否定され
この先どうしたらいいのか分からない状態も
失敗の大きさによっては長いこと続く。

正直な話、失敗はできればしたくない。
あんな気持ち二度としたくないと思うのだが、
学び続けるには、挑戦し続けなければならない。

ビジネスで「できる人」より、失敗から学び、挑戦し続け、
ビジネスで仲間を「インスパイアできる人」を私は目指したい。




参考文献
Argyris, C. (1991), 'Teaching Smart People How to Learn', Harvard Business Review, vol. 69, no. 3, pp. 99-109.





2015年8月17日月曜日

クラスメートの卒業、MBAも人それぞれ

一足早くクラスメートが卒業!

先週、学期の終了と同時にウルルへ妻とふたりで旅行に行って来たのだが、
たまたま同じ時期に日本人のクラスメートのS氏も偶然ウルルの旅行を
計画していたらしく、それならウルルで会いましょうということになり、
向こうで彼と彼の奥さん、私と妻の四人で夕食を共にした。

実はS氏は一足早く、今回の学期で卒業。

先月、香港の多国籍企業にあっさりと採用が決まり、
9月からの移動の前に
最後のオーストラリア旅行をということで、ウルルにしたらしい。


最初の目的はワーホリ

彼は2013年の11月からオーストラリアに来ていたのだが、
もともとMBAを目指してきたのではなく、
30になったのを機に心機一転で奥さんとワーホリで二年くらい
オーストラリアで暮らそうと思って来たらしい。

英語もそんなにできるわけではなかったので、
オーストラリアに行く前にフィリピンのセブ島で英会話の猛特訓を
2か月ほどしたのちに渡豪。

渡豪ののち、次の転職にも備えるかたちでMBAを目指すことにしたらしい。



途中でMBAに乗り換える

こちらのMBAに申請するのに最低限の英語力がないと入学させてもらえないのだが、
彼は半年近くかけて、バイトをしながら英語学校に通いIELTSの6.5以上を獲得
2014年の8月に私と同じMBAコースに入学。

夏休みの11月中旬から1月までのあいだ、
他のビジネススクールのサマーセッションを受けて、
こちらのMBAコースにトランスファー(移転)させるなどして、
通常18カ月で終わらせるところを1年で終わらせて、今回卒業まで漕ぎ着けた。




ジャズのような即興も人生には必要かも


興味深いのは、私のMBA計画とは違い、
1年先のことは全く分からないままで
不確実性の多い中でも着実に、というよりもその時はおぼろげながらも
結果的には自分の進みたい方向に行き着いてるというところだ。

2年前にシドニーに来た時には、2年後の今日のことなど
全く想像もつかなかったと本人も言っていた。

MBAを目指した理由も、ひとつには学歴に不満があったので、
「乗り換え」したかったと。

今回の就職先もMBAホルダーになる彼を
それなりに評価してくれたので、
他のオファーを探さなかったと言っていた。

彼にとってMBAは、人生を大きく変えるきっかけだったようだ。

10歳も年下の彼から
「挑戦てこういうものだったよな、若い頃は…」
あらためて思い起こさせられたような気がした。




2015年7月28日火曜日

人事評価が社員をダメする理由!?


つい最近、日経の記事でFinancial Timesからの投稿を読んでいたら、
アクセンチュアのCEOがこれまでの年次評価システムが
評価に費やす200万時間が無駄だったと反省し、
評価システムを廃止すると発表したそうだ。

実は、社員の成績を点数ではじき出すこの評価システムが、
ほとんどの社員に対してモチベーションを下げる働きをしていると
脳科学の分野からサポートするデータが続々と出ている。

特に数字で社員を評価し、ランキングで競わせるシステムにすると
社員たちの脳内では、プレッシャーによって闘争・逃走反応という感情脳
に理性がハイジャックされて
思慮分別のある行動や決断が出来にくくなるという状況に追いやられてしまう。


もう一つは、社員に間違った「学び」と「自己発達」のイメージを、
人事評価で与えてしまっているとのこと。というより遠のいていくと言ったほうが正しい。

成績が良ければ、「出来る人」というレッテルが、
逆に大きな失敗から学ぶチャンスを剥奪していると言えないだろうか。
皆、成績評価のために失敗を恐れ、クリエイティブなアイデアや実験的試みより
自分の立場をセーブするために、現状維持やいかにまわりの同僚よりうまくやるか
ということに注目が行ってしまっている。

今までの自分の器を壊して
新しい可能性にチャレンジして得られるような本物の「学びと成長」を
阻むものに他ならないのが、現状の評価システムだと。

こちらの動画が面白いので、英語の勉強がてら見てほしい。

HOW YOUR BRAIN RESPONDS TO PERFORMANCE RANKINGS



”Only one person feels neurologically rewarded by the PM exercise:
 the senior executive who oversees it.”

人事評価システムで、唯一、脳科学的に報われる人間は・・・
それを監督するエクゼクティブだけだ。

と、脳科学者の論文では言っている。
詳しくは、こちらのフルテキストがあるので、ご参照いただきたい。

Kill Your Performance Ratings



2015年7月26日日曜日

グローバル戦略論 Wal-Martの失敗に学ぶ。

余裕がない今学期

今学期は、かなりアサイメントをこなすのに追われる毎日で
ブログを書く余裕がなかった。

前学期までは、早め早めに課題をこなすようにしていたので
課題の提出ギリギリまで論文を書いているということはなかったのだが、
思い返せば、それぞれ1日前ぐらいまでなんやかやと書いていたような気がする。

なぜかというと、エキストラワークで
エクザキュティブ・コーチングのトレーニングコースを受講したから。
こちらは、大学の授業ではなく、Institute of Executive Coaching and Leadershipという
オーストラリアでは知名度の高いビジネス・コーチングの機関で
3日間のインテンシブ実践講習とその前後1週間の
e-learning+アサイメントをプラスでやっていたので、
本業が少し後回しになってしまったのが大きな理由だ。

International Business Strategy

ビジネス・コーチングの話はまた別の機会にお話しするとして
今回は、今学期とったInternatinal Business Strategy(IBS)で学んだことを書きたいと思う。
IBSでは、グローバル戦略を計画するにあたってどのような考え方にもとづいて
検討していったらよいかということを
実際のグローバル企業をケーススタディとして分析しながら学んでいった。

ケーススタディとして20企業以上(日本企業も多々あり)の事例を学んだと思うが、
そのなかで各自課題がふたつ与えられた。
ひとつは自分でリサーチして結果をまとめる課題、
もう一つはグループでリサーチして結果をまとめる課題のふたつがあった。

それぞれ論文形式で提出するほかに、プレゼンを5分づつしなければならなかったので、
論文以外の準備などで思ったより時間がかかってしまった。

各自の課題で私が選んだのが、Wal-Mart。

Wal-Martの優位性

Wal-Martは、ご存知の方も多いと思うが、
アメリカが本拠地のメガディスカウント・スーパーマーケットで
世界27か国で展開する多国籍企業だ。

2014年の売上高は、482億USドル(5兆7,840億円/1ドル120円換算)
フォーチュン500社でExxon Mobilを100億ドル以上抜いて売上高No1というのは驚き。
因みにアップルは第五位。

どれだけ巨大な企業かというと、
ノルウェーのGDPに匹敵するほどの売上をあげているといえばなんとなくわかるだろうか。

ウォルマートの海外進出のパターンは、
自国のスタイルをそのまま他国に投影させてクローンのような企業をつくりだす
インターナショナル・プロジェクターというタイプの多国籍企業のようだ。

他国に進出するときに考えなければならないのは、
自国で築きあげたコアコンピテンシーがどれだけ移行可能かということ。
Wal-Martの場合、ふたつのFirm-Specific Advantage(FSA=企業特有の優位性)がある。

1)Every Day Low Price(EDLP):
 エブリデイ・ロープライスという低価格を常に確保して顧客にいつ行っても安いという
 イメージを与えるような戦略で、基本的には目玉商品のセールなどで呼び込みをしない。

2)ウェアハウスを中心に効率化された配送システムで、配送コスト、インベントリーコストを
 最小限に押さえる戦略。

このふたつを他国でいかに早く浸透させるかが、Wal-Martの最大の関心事なので、
進出する国にすでに卸業者や小売業者のロジスティクスが確立されているところでは、
全国規模で展開している小売り業者をM&Aで獲得、
一気にエブリデイ・ロープライスをその子会社に導入するかたちをとっている。

ドイツ進出での失敗

ここで興味深かったのは、1997年にドイツ進出したのが失敗して8年で撤退した事象だ。
全国規模のスーパーマーケット2社を子会社化してスタートしたのはよかったが、
商習慣の違いや顧客の嗜好、法規制などで、
Wal-Martの優位性をことごとく発揮できずに撤退してしまった。

なぜ撤退せざるを得なかったを分析するのが、今回の課題だったのだが、
大きな問いかけとして
「Wal-Martの重要な優位性は、どれだけ移転可能だったのか?」ということ。

結論から言うと、他国で調達しなければならない、
または培わなければならない優位性がほとんどで、
他国との文化や法規制、経済状況などの違いが大きいほど、
移転するのが難しいのだが、そのローカルで培うべき優位性を軽視していたようだ。

Ghemawatは、進出する国と自国との違いをdistance(距離)ととらえて、
4つの側面からこれらの違いを明らかにしたらどうかと提案している。
その四つの側面とは・・・

1)cultural dimension(文化的側面)
2)administrative dimension(法的側面)
3)geographical dimension(地理的側面)
4)economic dimension(経済的側面)

それぞれの側面からドイツのWal-Mart進出で何が起きていたかを分析すると次のようになる。

文化的側面

ドイツでは、労働組合の力が強く、
アメリカの経営者優位の経営がなかなか難しい状況だった。
組合の意向も踏まえた経営が望ましかったのだが、
アメリカ式を押し通したため、従業員とのコミュニケーションがうまくとれなかった。

当時、全く別の2社を子会社化したため、
本部が2か所あったのだが、それを一か所に集約する過程で、
一方の重役幹部たちをもう一つの本部へ異動させようとしたのだが、
地元から離れて移動させられるという習慣がなかったらしく、
業界に詳しく有能な幹部たちが軒並み辞めていった。

EDLPの他に、従業員のサービスに定評があったWal-Martだが、
顧客が10フィート圏内(3m)に来たらスマイルして歓迎するという
10フィートルールをドイツの従業員にも徹底させたところ、
侮辱されたと間違われてドイツでは不評だったそうだ。

その他、スタッフが商品の袋入れを手伝うサービスを行ったが、
ドイツではそのような習慣がなく、別途費用を請求されるサービスだと間違われてしまった。

法的側面

ドイツでは、ゾーニング規制があり、
Wal-Martが得意とする大規模店舗がそう簡単に建築できないようになっていて、
スケールメリットによるコストダウンができなかった。

店舗の営業時間に対しても規制があり、
自国のような24時間営業ができず、
こちらも規模の経済による優位性を確保できなかった。

フェアトレード法によって、商品の生産コスト以下の値段を付けてはいけないことになっていて、
こちらも競合他社との値下げ競争で勝つための戦略として
商品によっては生産コストよりも低い価格でうる方策が取れず苦戦。

地理的側面

子会社のロジスティクスの要となる配送拠点が
南方面の店舗から500Kmも遠い位置にあり、効率的な配送システムが確立できなかった。

経済的側面

ドイツでは、ALDIのように小規模だが、住民がアプローチしやすい
近隣に多くの店舗を配置して、商品数を限定することで扱う商品は大量に買い付けて
低価格を実現するという手法を取っている。
Wal-Martのように大規模な店舗で大量商品を低価格で供給するとなると
大型の店舗と長い営業時間で商品の回転数をあげるしかなくなる。
低価格競争が激しいなか、Wal-Mart式の優位性では、
全く違う形で低価格を実現している他店舗に太刀打ちできなかった。

顧客の日用品の価格に対する目も厳しく、
ひとつの店舗に行って買い物するのではなく、
それぞれの商品で安いところを見つけてそれぞれの店に買いに行くほど
日用品の価格には厳しかったようだ。


海外進出にもしっかりした長期的戦略が必要

結局、新天地を求めて海外に進出しても、これらの局面が持つdistanceを
補う努力とそれに伴うコストを軽視していると、大失敗するということだ。

Wal-Martのリサーチをして実は初めて知ったのだが、
2002年から西友ストアがWal-Martの傘下だったとは、全く知らなかった。

昨年のアニュアルレポートを見ると、採算がとれない30店舗を閉鎖して、
前年比15億USドルのマイナスを計上していて海外組として西友はかなり苦戦しているようだ。

「カカクヤスク」の戦略はEDLPの日本版だと遅ればせながらであるが気づいた。

私も個人的に日本で西友を利用させてもらっていたが、
安かろう悪かろうの世界で、地元のスーパーに寄れないときだけ
買い物するくらいだったように思う。
基本的には、生協の宅配を利用して、ほとんどスーパーへは買い物に行かない。
私たちのようにスーパーで過ごす時間が勿体ないと思う世帯が多くなっている。
オンラインショッピングと宅配をやり始めたようだが、ネットがない時代から始めた
生協や有機農産物宅配業者に勝てるだろうか?

これから、日本は三人に一人が65歳以上の高齢者になる時代に
身体の健康や生活の質にこだわるセグメントが増えるなか、
価格よりも新鮮さや健康志向、国産、地元産を優先するのではないだろうか。

いろいろなセグメントがあるので一概には言えないが、
マクドナルドの売り上げが下がっているのは、
安いファーストフードでも充分だというセグメントが
少なくなっていることもあるのではないだろうか。

税金回避地を使っていたり、メキシコで政府への賄賂に幹部が関わっていたり、
やっぱり「安かろう悪かろう」の世界版か、と思わざるを得ない・・・

引用文献

Verbeke, A. (2013), International business strategy: rethinking the foundations of global corporate success, Cambridge University Press, Cambridge. 

Sethi, P. (2014), 'The Wal-Mart affair - where implausible deniability is the coin of the realm', Corporate Governance, vol. 14, no. 3, p. 424. Available from: ProQuest Central. 

Ramakrishnan, S. (2015), 'Wal-Mart uses tax havens to cut taxes on foreign units -advocacy group', Reuters News Website, 17 June,  Accessed: 24 June 2015

2015年6月28日日曜日

T1(1学期)が終わりあっという間にT2突入!

T1の総合評価

5月の半ばにT1の期末試験結果が出そろった。心配していたマーケティングも
最終的には、総合点で70点とまずまずの結果で安心した。

中間テストで57点+アサイメントで78点。これが総合点の50%。
ということは、残りの50%である、Examライティングが70点だったことになる。

試験後の感触から、60点いくだろうか…と思っていたが、
それなりの評価をもらえたということで、
だいぶライティングの力もついてきたのかもしれない。

ファイナンスで苦戦するも・・・

Examで一番気になっていたのは、実はファイナンスだった。

アサイメント1と2は、今までにない96点と92点という高評価をもらっていたのだが、こちらは、あくまでも総合評価内で5割の話。

結局のところ、最後のExamで50点以上取らなければ、科目自体パスできない仕組みになっている。たぶん最後まで力を抜かせないための戦略なのだろう。

それなのに、出てきた問題がめちゃくちゃ難解で、10問中4問を選んでやればよかったのに最初の計算問題で2時間以上を費やしてしまった。2問目の計算問題も、途中で読解の誤りに気づき中断。既に30分を無駄にしてしまい、あとは残りの30分で2問をやるしかなくなってしまった。

試験を受けるときに、時間配分は必ず考慮すべき基本中の基本なのに
一問に対する配点があまりにも大きかったので、途中で諦めるという
思い切りが出てこなかった。

必死で回答を書いたが、焦れば焦るほど英語で書きたいと思う単語が出てこない。
最後の一問はとにかく理解しているという意思表示で、
えーいっ!と半ばヤケクソでブレットポイントで単語を並べるだけ並べて終了。

ファイナンスのExam終了後、さすがの皆もかなり出来なかったようで
お互いに顔を合わせると「impossible」と言うかのように首を左右に振りながら
うなだれて教室から出てきていた。

こちらも50点以上行かなかったら、追試の覚悟もしていたが、
蓋を開けてみれば64点と予想以上の結果だった。Examで60点代でも
小論文の評価が良かったので、最終的には79点のDistinctionという
Creditよりひとつ上の「良」の評価がもらえたのは嬉しかった。

全くの無知の状況からファイナンスでこれだけの評価がもらえたのは、
800ページからなるテキストを端から端までほぼ熟読して、
知らず知らずのうちに授業では触れないような細かな内容まで頭に入って、
ファイナンスの全体像として把握することができたからかもしれない。

もう一つは、苦手意識があったのでわからなければ、
教授に毎回聴きに行っていたこと。
それに対して教授もじっくりと対応してくれたことが良かったのかなと思う。


3科目目のビジネス・アナリティクスは、
統計学でビジネスのデータ分析をする科目だったのだが、
こちらは、正しい答えが必ずある。

統計学もアナリティクスも初めて知る内容だったが、
内容が面白かったので、アサイメントもExamも80点~90点をマークすることができた。

総合評価が85点以上だと「high distinction」という「花丸」的な評価があるのだが、
こちらの評価を初めてもらうことができた。
マーケティングやデータマイニングなどビジネスで即使えそうなテクニックなので、
短期間でこれだけしっかり学べたことは、将来への自信にも繋がった。

学ぶことに貪欲なオジサンが思うこと。

社会に出れば、このような評価などどうでもよいし、
雇う側もあまり詳しくは見ないところだがら、
最終的には自己満足の世界なのかもしれない。

インド出身の20代若手クラスメートは、
「あー僕は50%さえクリアしてれば、それで満足だよ。
だって、学歴として出てくるMBAだけが必要で、成績なんて関係ない。」

確かにそれも一理あるが、高いカネと時間を犠牲にして何を学ぶのか?
私も良い成績を取るのが目的で勉強していないので、
出てきた成績に対してSo what?
という気持ちもあるが、自分の成果を確認するための
フィードバックと思えば、やっばりどれだけ学べているか?
という視点ではとても気になる指標だ。

仮に5割しか学べてないなら、
あと残りの5割は何だったのかを確認しに行ってもいいのではないか?

なんだかこの若手クラスメートの話はとてもクールに聞こえるが、
もうちょっと社会で揉まれて、学べることの希少性を十分に体得してから
帰ってこい!と言ってやりたい。

まあとらえ方は人それぞれだし
ビジネスに戻ってからどう活かすかだから
彼にとっても実りのある時間であってほしいと願うばかりだ。

今学期もいろいろあったが、
とりあえず次のステップに行けるということで一安心。
今後もこれらの分野は興味深いので、
常に情報収集と学んだことを実践に活かせるようにしたいとおもう。




2015年3月5日木曜日

トヨタがなぜオーストラリアの工場を閉鎖するのか


中間が終わりホッ

月曜日にMarketing Managementの中間テストが終わり
やっと三科目の半分の課題が一区切りついた。

MBAの課題の中で、私が一番苦手としているのは、
時間内に行われるテストだ。

今回マーケティングの科目だけ2時間のライティング・テストがあり、
思ったようにスラスラ書けず悪戦苦闘してきた。

単に覚えた知識を披露するのではなく、
学んだフレームワークに当てはめて、現実世界の出来事を
分析的に書かなければならない。

小論文のように幾らでも時間をかけてもいいのなら
あるていどの精度で書くことができるが
時間制限のあるなかで5~6ページの内容を書けというのだから
これが一番きつい。

マーケティングの課題

今回は、事前に質問の内容が言い渡され、
その内容についてよくリサーチをしておくようにとのことだった。
「なぜオーストラリア国内で国産車の製造工場が軒並み撤退を発表したか?」
というような質問だった。

オーストラリアに今残っているのはフォード、GM Holden、トヨタの3社と
トラック製造などのその他企業だ。

フォードが2013年に国内での車生産を断念して撤退を表明。
その後、トヨタ、ホールデンも2017年に撤退すると表明された。

この三社だけで、国産車生産高の約7割を占めるのだが
なぜ揃って撤退を決めたのかを、マクロとミクロの視点で分析しなさいと。

我流PESTEL Model

マーケティングでマクロを分析するのはとても重要で
ここをしっかりと押さえておかないと、企業として影響の及ぼしにくい領域なので
変化について行けなくなってしまう。

マクロの視点としていくつかのカテゴリーがあるが、
私は今回は、PESTEL Modelを改良して使うことにした。
PESTELとはそれぞれのファクターの頭文字をとっており、私の場合は次の通り。

Population (人口統計的)
Economic(経済状況) 
Socio-cultural (文化・社会現象)
Technological (テクノロジー)
Ecological (環境)※今回の分析では省略した。
Legal-political (政治、法律)

例えば今回の課題では、

Population

人口統計は、毎年増加傾向で2014年は1.6%の増加率だった。
そのなかで6割以上が移民の流入が原因。車の登録数も昨年末で2.5%も増加しているが
国産車は逆に減少傾向。これはなぜか?次に出てくるファクターに起因する。

Economic

過去10年間の経済状況では、生産コストである、電力、鉄、労賃といずれも高騰。
特に賃金においては、東南アジアの約4倍になっている。原油の価格も上がったことから
消費者の嗜好が大型の国産車から燃費のいいマツダやトヨタカローラにシフトしていった。
フォードもホールデンもトヨタもオーストラリアでは、
大型車に特化していて小型車はつくっていなかった。

Socio-cultural

オーストラリアは多民族多文化国家で、移民の割合も多く、
それぞれの民族がそれぞれの文化を維持しながらそれぞれが
なんとなく混ざり合って生活している。

消費志向も文化によって違うし、人口も2千2百万と少ないなかで
それぞれ小さなセグメントがひしめき合っているので
マーケターとしては規模の経済性を確保するには非常に難しい国ではないかと思う。

そんななかで「国産」こだわりを持てる人たちはごく少数のグループに限られるのではないか。
「Made   in Japan」のようにクオリティを価値として提供できれば話は別だが、
「Made in Australia」が意味するところは何かを考えると疑問符。

Technology

車の製造ラインのオートメーションが進むなかで、これ以上の人員削減など
生産コストを減らす努力はできないのではないか。国産車とはいえ、ホールデンの
コモドアも実際は、部品の半分以上をアジアからの輸入に頼っている。国産車の製造も
2009年から半減している。このような状況では、新しい開発などに投資もできない。

Legal-Political

国産車が輸入車に太刀打ちできなくなった要因として2010年の関税を10%から
5%に下げたことがあげられる。原油価格の値上がりで、燃費のいい輸入小型車に
志向が移ったことと相まって、国産車の減速は止まらなくなったようだ。

それでも連邦政府と地元の州は、過去十年間でそれぞれの企業に売上の倍以上の
サポートをしているようだ。

オーストラリアにとっては、職を確保するためだったのかもしれないが、
企業にとっては、ぬるま湯につかって本来の競争力を発揮しなかったのではないか。



このあとミクロのサプライヤー、ディーラーなどの
ステークホルダーの分析に入るのだが、ここでは省略。

今後の課題として・・・


このような感じで、日本語ならいくらでも書けるが、
英語で書くとなると、相当用意していかないと
留学生には難しい。

結局、一回ラフドラフトで紙に書いて、
次に、ワードで打ち込んで
もう一回紙の上で書いてみる、で3回テスト前に書く練習をしたが

それでも実践ではあまり筆が進まず、
最後は、時間が無くなり、最後のほうを端折ってなんとかフィニッシュ。

もう少し書く練習が必要かな。。。



2015年2月17日火曜日

やさしいファイナンスの話:ポートフォリオ理論


ついに来たインテンシブ講義


先週の金曜日、土曜日と朝9:00から17:00まで
Financial Strategyという授業に行った。
今学期のインテンシブで行われる科目だ。

私のMBAコースの授業はほとんどが決められた授業
(12科目11科目が必須)なので
だいたい同じようなメンツが揃うのだが、
今回は知っているクラスメートが少なかった。

なぜだろうと思っていると
隣に座ったクラスメートが、
今回の講師は厳しい講師なので
わざわざウーロンゴンの
同じ授業を受けに行っている
生徒もいるという話だった。

※シドニービジネススクールはウーロンゴン大のシドニー校で
ウーロンゴンでも同じMBAコースがある

向こうの講師のほうが、パスするのが楽だかららしい。

MBAを取ることが最終的な目的ではなくて
この授業でいかにたくさんのことを学べるかが目的なので
厳しいならば、それだけの期待に応えるべく頑張ればよい。


リスクvsリターン

「皆さんは、自分の自由時間をつかって簡単に儲ける方法を
教えます、という話をどう思いますか?」

「リターンを多くするということは、リスクが伴いますが
リスクを最小限にして、リターンを多くすることができれば
人より稼ぐことができるわけですが、もしそのような方法があったら
人にわさわざ丁寧に教えますよ、なんて言うと思いますか?

と講師。

なるほど・・・論理的な考え方だなと思った。

確かに、皆に教えれば皆が同じような方法でリターンを得ようとする。
「秘密の方法」を広めた段階で、希少性が無くなり、
通常のやり方と変わりないことになり、リターンも通常並みになるはず。

ファイナンスでは、市場こそが一番効率よく稼いでいると仮定します。

だから、長い目で見ると株の選び方で儲かるとか、金融商品で儲かるとかいうのは、
勝つときもあるし、負けるときもあるということだけで、
どんなに頑張ったって、株式市場の利率(リターン)以上のリターンを稼ぐことは
不可能だというのがいろいろな実験でわかってきました。

これを「効率的市場仮説」といって、
要は、持続的に市場リターンを上回る利益を上げることは不可能ということだ。

「投資のプロは目隠しをした猿に勝てない」と言うらしい。

実際にアメリカで、投資のプロが選ぶ株と、
素人が適当に選んだ株でどちらが利益をあげるかで
勝負したところ大して変りがなかったという話がある。

私もほんの少額だが、いくつかの株に投資している。
いろいろな情報をもとに先はどうなるかを予想して売買するが
確かに先のことは全く分からない。

増益が確実な再生可能エネルギーの会社に投資しても
その後、会計に不備があり、監査が入ったりした途端に
70%以上株価が暴落。

数字が良くっても、いろんな要素で下がったり、
上がったりするのが株なんだと
思い知らされた。


効率的市場のポートフォリオ理論

その点、ファイナンスの理論は、クールでエレガントだ。

ひとつひとつの株価を分析ぜずに、市場全体の動きと
それぞれ個々の株との関係性を分析して、
なるべく効率よいといわれる市場のリターンに近づけましょうと。

市場のリターンとは市場に出回っているすべての株=投資家が投資したお金から
生み出される総利益のことで、通常パーセントで表す。

例えば市場リターンが15%なら、100ドル投資して、
毎年15ドルのリターンがあるということだ。

市場リターンが15%のときには、いくつかの株を選んで投資することで
15%以上の稼ぎを得ることは長い目でみれば理論上不可能ということになる。

では、この最も効率よい「稼ぎ」に近づけるにはどうしたらよいか?
が一番気になるところだと思う。

このような疑問から生まれたのが、「ポートフォリオ理論」。

ポートフォリオ理論とは、いろんな種類の株を組み合わせてポートフォリオをつくると
ひとつ組み入れるごとに個別の株(企業)が負っている特殊なリスクが減っていき、
効率的市場のリターンに近づいていくという話。

市場のポートフォリオは、出回っている全ての株が入ったポートフォリオだから、
どんなに頑張ってもまねはできない。実際にはすべての株のリターンを算出するのは
難しいので、そのかわりに効率的市場のリターン利率を代表するが
ダウジョーンズや日経インデックスなどの選ばれた企業のポートフォリオから
出てくる数値が近似値として使われているそうだ。

だから一番効率よいリターンを目指すには、日経インデックスなど
市場を代表するポートフォリオに近づければ、リスクに対してリターンを最大に
することができる。


理論では、色々な種類の30銘柄以上を組み合わせると、
それぞれ固有のリスクがほぼ打消し合わされるので、
それ以上組み合わせを増やしてもリスクの大きさにはあまり変化がなくなるらしい。



いろいろな銘柄を組み合わせることをdiversification=多様化というのだが、
これは面白い考え方だと思う。

ビジネスでも「ダイバーシティ」がもてはやされているように
組織の活動でも多様な考え方や見方を受け入れることで
見えないリスクを打ち消し合い、効率よいパフォーマンスを目指すことができる。

自然界でも生物多様性があることで、効率よいエコシステムが成り立っている、
と言い換えることもできないだろうか。


ファイナンスに全く疎かった私には
ダウジョーンズだとか、インデックスとか
何のことかと思っていたが
株式市場の効率よい稼ぎが
今どれくらいなのかということだとは全く知らなかった。

投資に対するイメージが180度変わった。

企業のファイナンスもそうだが、
自分たちの少ない資産のファイナンスを
考えなおすきっかけにもなるなと思った。

これからの授業も楽しみにしている。



2015年2月4日水曜日

フィール・ザ・データ!!(Feel the data!!)

二つめ講義の初日

今日(2月4日)は、今学期の二つめの科目:ビジネス・アナリティクス
の講義の初日。

Business Analytics(アナリティクス)とは、近年ウェブの発達などで
顧客の消費行動などあらゆるデータが比較的簡単に取得できるようになり、
これらの膨大なデータを分析して、企業の意思決定に役立てることだ。

これらの作業は、数学者が統計学の理論などで計算する
専門性の高い作業だったのだが、
エクセルのスプレッドシートの普及で、私のようにまったく文系畑でも
ある程度のデータ分析や生データの解釈をすることができるようになったわけだ。


ビッグデータとアナリティクス

教授は、経済学のドクターで、数学者でもあるペレラ教授。
昨年のHead of School(学長)でもある。

「2013年にMBAコースをrevise(改編)するときに
この科目を提案したのですが、最初、誰も何のことか
あまり理解できる人がいませんでした

今、急激にニーズがあがっているエリアなので
メンバーの皆を説得してMBAコースに入れてもらいました」と教授。

去年、おととしくらいからビッグデータの活用が
大企業の課題としてよく話題になっていたが、
要は、統計学的な視点で、今まであまり活用されてこなかったデータを
統合して現状を把握し、未来を予測、仮説を立ててシュミレートしたりするのに使うのが
ビジネス・アナリティクスだ。

私たちはデータサイエンティストではないので、
複雑な方程式を立てたりまではやらないが、
会社に埋没しているデータを意味のある物語へ変えるには
どのようなコンセプトや手順が必要かということを学ぶことで
直観頼りのマネジメントをもっと客観的なエビデンスに
則ったものにすることができるわけだ。


Art of Number

「スプレッドシートにある数字を
棒線グラフなど見栄えの良い形に変えて
あたかも意味ありげにプレゼンするマネージャーがいるが、

データそのものが語るコトバをしっかり理解しないで
華やかな絵図で魅せても仕方がないよね?

columnやline chart にフォーカスする前に
まずスプレッドシートを前にしたら

一番に・・・・

FEEEEL the Data !!!


へ?データを感じよ?
て、一瞬教授がブルース・リーに見えた・・・

す、数字の羅列にしか見えませんが何か??



やはり数学者は、numberを感じることができるくらい愛しているのか。
データや統計の話をする教授はとても楽しそうに見えた。






"Don't think, first, FEEEL the data!"
by Professor Perera








オーストラリアMacDonald'sで成功した「リトルビット・ファンシーバーガー」


今週の月曜日、マーケティングの授業で面白かった話は、
オーストラリアのブランド牛肉「Angus Beef」について。

2000年はじめ頃、オーストラリアでは牛肉がコモデティ化して
値段競争が激しくなっていたそうだ。

Commodityとは、ガソリンや鉄鋼などどこから購入してもさして
品質など変わりがないので、消費者も供給元を気にせず、
安く提供されている業者から購入するようになる。

そうすると、供給元からしてみると
規模効率を追求して、コストを下げ、安く提供することでしか
利益が得られなくなってくる。

そこで、ブランディングというコンセプトが出てくるのだが、
オーストラリアの家畜肉協会が品質にグレードをつけて
それを認証する制度立ち上げ、普通の牛肉とブランド牛肉とを
差別化して売る戦略を立てた。2013年現在でオーストラリアの牛肉20~25%が
ブランド品として売られるまでになったそうだ。

そのなかでのAngusはブランド肉としてレストランでも、
「品質の高い美味しい肉」としてメニューにでてきたそうだ。
そこで、これに目をつけたマクドナルドがとった戦略が"Little bit fancy burger"。

ファーストフードでマックといえば、ブランド肉とは程遠い。
私なんかも、お金も時間もなくて、手っ取り早く食事を済ませようと思ったときに、
まわりに何もなければ、仕方なく入るぐらいにしか思っていない。
このような店で、Angusバーガーをちょっとプレミアムを付けて
安価で提供したところ、これが大ヒット。
ビーフ関連の商品売上を20%も伸ばしたそうだ。

レクチャーの中で出てきたキーワードは、
「コモディティのブランド化」と
「masstige=マス(大衆)とプレステージをかけた造語」。

マックの宣伝で、ちょっと小指がたってバーガーを食べてる宣伝は笑えた。
日本の場合、モスバーガーがあるから、この戦略は難しいのではないか。

こちらの動画を教材として視聴させてもらったのだが、
little bit fancyがどのようなコンセプトで生まれたのか、
コメディみたいて観ていて大笑いしたので、こちらに載せたいと思う。





究極のところ、Angusと普通のビーフの違いがわかるひとはどれだけいるのだろうか。
「踊らされる消費者」というイメージが拭い去れなかった。

「ちょっとだけ贅沢な車」とか「ちょっとだけ贅沢なホテル」に置き換えると
うーん・・・と腕くみしてしまう。










2015年1月24日土曜日

EQ・こころの知能指数をはかるテスト!


たとえIQが高いとしても

1990年の10月23日
コーラル・スプリングス公立高校の物理の先生が
「B」の成績をつけたことに逆上した生徒に
学校の実験室にて肉切り包丁で刺されるという事件がおきる。
( New York Times 23 October 1990)

刺した生徒の名はジェイソン・ハフィズラ。
成績がオールAでなくなることで、ハーバード大メディカルスクールへの道が
断たれたと絶望し、このような行動に至ったらしい。

「B」を付けただけで刺されたポログルト先生は
幸い急所を外れて命拾いした。

その後、ジェイソンは逮捕され
最大禁固17年の刑で起訴されたが、
「自殺しようとしてもみ合いになった」として
当時、当人は精神に異常をきたしていて
責任を問えない状態だったということで不起訴。

その後、ジェイソンは精神病院で治療を受けた後、
2年後、別の私立高校に再入学し、念願のオールAをとり最優秀生徒として卒業。

その間一度もジェイソンからは、ポログルト先生に対して
刺したことを詫びる言葉はなかったそうだ。

狂乱状態にあったとはいえ、人を傷つけてしまったことに対して
刺された方の身になってみれば、「申し訳ない」の
一言ぐらい出てきそうなものだが、
この生徒は、Empathy=共感という感情を育まれてこなかったようだ。

IQの高さを証明するのに一生懸命で、
社会で円滑な人間関係を築くのに最も大切な感情、
相手の気持ちを想像する能力を忘れてきてしまったらしい。

Empathy(共感)の発達過程

相手の気持ちを感じる能力の発達は
生後8か月ぐらいから始まるそうだ。

目を合わせた時に自分の感情を相手が
受けとめているかどうかがわかってくると
自分の感情で相手に影響を与えることができることを学ぶ。

この時期に、親が子どもの感情の移り変わりに無関心だと
感情を表現しても何も起きないとあきらめてしまい、
徐々に感情表現をしなくなる。Empathyも育まれない。

その後親以外のまわりの環境によって
EmpathyなどのEI(Emotional Intelligence)は
いかようにも影響を受けて成長とともに変わっていくのだが、
ゴールマンによれば、感情を意識した教育は
発達過程の早い時期(特に0~10代)に行う方が効果はあるということだ。


Emotional Intelligence 2.0 

では、40のオジサンでも改善できるか?
「学び」に年齢制限はないので、Yes, We Can。


前回、ゴールマンによるEIは5つの性質に分けることができ、
これらの能力がビジネスでのリダーシップやパフォーマンスに
大きく影響しているとお話しした。

EQは仕事のパフォーマンスに約58%関係があり、
トップのパーフォーマ―の9割は、高いEQをもっているという統計がある。


今回はビジネスの世界で、または、日常生活のなかでの「学び」という観点から
4つのスキルとして提案しているブラッドベリーのモデルを紹介したい。
言葉が簡潔で覚えやすいので、英語で記したいとおもう。



まず、対自己としてのスキル

①Self-Awareness:

自分の感情の状態をどれだけ冷静に、正確に把握できるか。
         (Emotional Literacyともいう)

②Self-Management:

認識した感情を有効に活用することができるか。

そして、対他者のスキルとして

③Social Awareness:

他者の感情をどれだけ読み取れるか。

④Relationship Management:

自分の感情や他者の感情を認識しながら、うまくコミュニケーションができるか。


これら四つのスキルに分かれているが、
実際は状況によって相補完的に
関連しあって発揮される。

それぞれを意識することによって、40の私であっても訓練できるようになっている。

車の運転と同じで、最初はそれぞれの動作を確認しながらでないとできないが、
慣れてくれば、無意識の状態でも流れ作業のようにできるようになる。


EQテストを受けてみた

EIを鍛えるには、まず最初に自分の客観的な状況を知らなければならない。

EQを測るテストは、いろいろあるのだが、ブラッドベリーが
これら四つのスキルについて簡単なテストとe-learningのコンテンツを
提供しているので、こちらを受けてみることにした。

Emotional Intelligence Appraisal® 

こちらのEmotional Intelligence Appraisal®にて
20くらいの質問に答えるとスコアが出てくる。
お値段は、49ドル。

ウェブ上で自分の弱いスキルはどこか、
どのスキルからトレーニングを始めたらよいかなど
アドバイスが出てくるので、英語を勉強している方、
ビジネスで活用したい方は受けてみるとよい。

因みにわたしの点数は・・・

①Self-Awareness:自分の感情の状態をどれだけ冷静に、正確に把握できるか。
         (Emotional Literacyともいう)

69点/100点
→思ったより低かった。ときどきテンパーをなくすことがあるので、そこが改善点。こういうかたちで自分の弱みを客観視できると、人に言われるより受け入れやすい。

②Self-Management:認識した感情を有効に活用することができるか。

71点/100点
→①で認識できないと、こちらで活用できない。感情にハイジャックされないような戦略が必要か。

③Social Awareness:他者の感情をどれだけ読み取れるか。

83点/100点
→こちらは私の得意分野だと思う。小さいころから転勤が多かったせいか、まわりの雰囲気を読み取ることが自然と身についたのだろう。

④Relationship Management:自分の感情や他者の感情を認識しながら、コミュニケーション   ができるか。

65点/100点
→新しい関係をつくるのは得意だが、それを維持することが得意ではないので、このような低い点数になってしまったのだと思う。たまに「冷たい」といわれてしまうことも。努力しているつもりだったが、まだ自分の気づいていない部分がありそうなので、意識していきたい。

80点以上が高いレベルで、これらの点数とともに、どこをまず意識して取り組んだらよいかの
アドバイスがレポートとして出てくる。

私の場合は、④のRelationship Managementを強化しましょう、ということだった。

自分のアカウント内にそれぞれの項目ごとに映画のシーンから切り取った場面が閲覧できるようになっていて、時間がある時にそれを観ながらe-learningできるようになっている。

トレーニング後に再テストできるようになっているので
半年後に再テストする予定である。



次回は、それぞれ四つの分野で、どんなトレーニングをするのか
少しご紹介したいと思う。


参照文献

Bradberry, T & Greaves, J (2009), Emotional Intelligence 2.0, TalentSmart. 

Goleman, D (1996), Emotional intelligence: Why it can matter more than IQ, Bloomsbury London. 

2015年1月22日木曜日

夫婦で夏休みのパース旅行へ!!


オーストラリアは夏!(1月現在)

オーストラリアは、日本の四季と真逆なので
12月から1月は、夏に入る。

私の学校もTrimester3という三学期が終わると、夏休みに入る。
11月の初旬に期末テストを受けたら終わりなので、実質2カ月以上が夏休み。


シドニービジネススクールは、2月からのTrimester 1か、
8月のTrimester 3からしか入学できないので、
効率よく1年間で終わらせたいなら、
2月入学を目指すことをおススメする。

私の場合は、妻の転勤の日程でシドニーに来たので、
8月からのT3入学組だ。

クラスメートたちもそれぞれ祖国に帰る人、さらに海外に行く人、
アルバイトで稼ぐ人とまちまちである。

オーストラリアの夏休み

なんだかMBA留学関連の本やブログを拝見すると、
入学と同時に就職活動を始めている方が多いようだが、
私は休職組なので、就職活動も必要なし。

ちょうどクリスマスから年末年始にかけて、オージーたちは
2~3週間の夏休暇をとって旅行などリフレッシュする時間に
充てるようだ。妻によるとクリスマス前くらいになると
ビジネスがほとんど動かないらしい。

「バケーションにはいるから、来年ね。」といわれるそうだ。

日本で2週間も仕事から離れると、帰ってきて仕事の山が待っているか、
まわりから冷たい目でみられるかだ。

仕事から離れてみて、あらためて感じるのは日本人は仕事のし過ぎだということ。
「学び」についていくつか書かせてもらったが、
仕事からは、人生で可能な学びのほんの一部分しか得られない。

「学び」がないと新しいアイデアが浮かんだり創造的活動ができなくなる。
新しいビジネスのアイデアが浮かぶ場所としても
旅先が上位に入ってくるように、日常のテンションから解放されることは
人生にとっても「仕事」にとってもともにプラスになるはずだ。


オージーに倣え


「そういうことなら、オージーにならって我々も」ということになり
妻の休暇に合わせて、パースへ行くことにした。それでも予算の関係で
何週間も行けないので、土日をはんさんだ5日間だけ。

パースは、私たちの住むシドニーから西へ大陸を横断して約4,000kmのところにあって
Western Australia州の州都である。




日本列島を北海道から横断してさらに沖縄まで行っても
3,500㎞ぐらいにしかならないので、
オーストラリアの端から端がいかに遠いかがわかる。
ちなみに時差は、3時間。

妻の話によると、パースの人たちは、
東部の私たちがいるシドニーやブリスベンなどの人たちがビジネスで行くと
どうしているかこちら(東部)の様子を聞きたがるらしい。

オーストラリアでもなんとなく隔離されてる感があるパース。
日本では、立派なリゾート地として有名だが、シドニーに住む者としては
The other side of Australia(もう一方のオーストラリア)ということで
行ってみたくなったとという訳。



夏のパースは暑い。「暑いだけだよ。」とまわりからは不評だったが
その分飛行機や宿泊代がお手頃価格だったので、いろいろ迷ったが決行。
結果的に今までの旅のなかでも、1、2番に入るくらい良かった!!



1日目:アート・ミュージアムを見学


午前10時からのフライトで、5時間でパース時間の12時すぎに到着。

宿泊先のアンバサダーホテルは、パンパシフィックホテルの近くにあって
かなり古いホテルなのだが、日本人のスタッフもいて、一泊120ドル(二人)
でツインは、お買い得だったとおもう。
内装も古いが、それでも部屋は広いし清潔で充分満足。

パースは、鉱山資源が豊富で州政府の資金も潤沢ということで
市内にはキャットバスという無料のバスが走っている。
これに乗り、私たちのホテルのあるスワン川沿いの地域からパース駅の北側へ向かうと
州図書館、美術館、博物館が並んで建っている。

こちらの美術館、博物館は両方とも無料。
今回はアボリジナルアートを観たかったので、美術館へ行って来た。




2日目:ピナクルスツアーに参加


パースから北へ約250kmのところにある石灰岩塔が林立する景観で有名なのがピナクルス。

ツアーに参加すると、あっちこっちせわしなくまわるので、普段は参加しないのだが、
カーレンタルしたとしても日帰りはきついので、バスツアーに参加することにした。
(値段は210ドル/人とちょっと高め)

朝7時20分に写真のような4WDの車両でホテル前でピックアップしてもらう。




思った通り、ピナクルスに直接行かず、カバシャム・ワイルドライフパークで
カンガルー、コアラ、ウォンバットと触れ合い…



なぜか、昼は道中の海岸沿いにあるロブスター加工所を見学後に昼食。



ピナクルスに午後2時ごろついて、一時間ほど散策後、



ランセリン大砂丘で、4WDバスによるワイルド走行をしてもらい、
最後には、砂丘滑りを体験してお開き!



ピナクルスとランセリンは良かったが、
「一日に4か所もまわると疲れるね」と

帰ってきてふたりともぐったりだった。途中バスのタイヤがパンクするという
アクシデントがあり、ホテルに帰ったのが午後8時過ぎ。この時間になると
週末だからなのか、ホテルの近くのレストランは閉まっていて、
食べに行けるオプションが少なかった。

3日目:フリーマントルの街を散策

この日は、前日のツアー疲れから、私たちのいつもののんびり気軽な旅に切り替えて
パース駅から電車で30分ほどのスワンリバー河口の古い港町、フリーマントルを散策。




海事博物館を見学して、博物館内のテラスでランチをしたあと、




帰りは、妻がかねてからの希望だったキャプテンクックのクルージングでパースへ。

窓際に席がテーブルをはさんで向かい合うようにあるので
船に乗り込む前に何かつまみなどを買い込んでいくと
ワインの試飲などがサービスとして出されるのでゆったりした気分で
船からの景色を楽しむことができる。



残念だったのは、珈琲か紅茶のサービスがあると聞いていたが、
インスタントのような珈琲をカップで取りに行くだけだったこと。
シドニーではどこに行っても美味しい淹れたてのカプチーノが飲めるので、
すっかりシドニーのカフェ文化に慣れてしまったせいか、こちらの珈琲にはがっかりした。

午後5時ごろにはホテル到着。昼寝をして、ちょうど日が沈むころに
スワンリバーへ夕日を観に行く。ちょうどリバーサイドに

日が暮れていくのをテラス席から眺めながら、地元のホタテを使った炒め物と
久々に白いごはんとで食べてふたりとも満足した。デザートに頼んだ
ココナッツミルク漬けのライスケーキがとても美味しかった。
こちらの店は、パースに来られる方にぜひおススメしたい。




4日目:キングスパークで森歩き&サンセットコーストで夕陽を観る

パース観光最終日。この日はロットネス島に行って海水浴をする予定だったが、
島からの往復便に限りがあり、一日中海水浴もしないだろうということになり急遽
パース市内にあるキングスパークを散策することにした。

ホテルから37番の市バスに乗って終点が、
目的地なのだが、こちらのバスも無料。
ツーリストにとってはありがたいサービスだ。

この日は、太陽の下は暑いが、風が吹いていて比較的涼しかった。
バスからキングスパークに降りたつなり、大きなユーカリの並木に迎えられ
思わず深呼吸。レモングラスのような香りがあたりをたちこめて
来た瞬間でこの場所が気に行ってしまった。
「あーやっぱり海より、森の中がホッとするぁ」と
久しぶりに深い緑のなかにきてすっかり身体がリラックスしていくのがわかった。



キングスパークは、都会にある公園としては、世界最大といわれるほど広いそうだ。

ちょうど午前中の無料ツアーがあったので、
ガイドのリチャードさんと一緒に植物園のなかを
案内つきで散策。

オーストラリア内の各地域ごとの植生をそのまま
再現しているということで、日本では見られないめずらしい樹や植物をみて楽しんだ。



木々のなかにいると香りや空気が美味しくて、ずっと深呼吸しながら歩いていたら
終わる頃にはすっかり身体も心もリフレッシュしていた。
黒姫から来ているので、なんとなく自分たちの住んでいた森を思い出しながら
どこに行っても同じなんだねと夫婦ふたりで話していた。


(樹にとまるクーカブラ)

クイーンが約90年前に植えたという樹の下の木陰に座って簡単な昼食のあと
また、ホテルに帰って恒例の「昼寝」。(旅行に行っても私たちは必ず昼寝する)


いつもならこれで終わるところだが、
パースに来て一回も海で泳いでないというのはちょっと悲しいねということで、
夕陽鑑賞を兼ねてパースから電車で20分くらいの
コッテスローへ夕方から行ってみることにした。

パース郊外の北に続くサンセットコースとよばれる一帯で
駅から歩いていけるということで、コッテスロービーチを選んだ。



ビーチに着いて海に浸かるなり、身体じゅうが海水に反応して
ぽつぽつとところどころに赤くアレルギー反応が出てしまった
いつも風呂の塩素でも反応して出てしまうのだが、
まさか・・・母なる海を受け付けられない身体になってしまうとは・・・苦笑

残念ながら海とは相性が合わないということで、
早々に切り上げて浜辺でくつろぐことに。

インド洋の夕焼けは、真っ赤で日本では見たことのない赤だった・・・





パースは、シドニーと比べると
ゆったりとした雰囲気でリゾート地という感じでとてもくつろげて良かった。

帰ってきて、シドニーと自分たちが住んでいるところの良さもあらためて認識した。

「ホームに帰ったというより、
旅の途中からまた別の旅に出て、また旅の途中に帰ってきた感じだね。」

というと、アパートからすっかり見慣れた
ハーバーブリッジのネオンを眺めながら、
「たしかにそうかもね。」と妻が呟いた。