2015年2月17日火曜日

やさしいファイナンスの話:ポートフォリオ理論


ついに来たインテンシブ講義


先週の金曜日、土曜日と朝9:00から17:00まで
Financial Strategyという授業に行った。
今学期のインテンシブで行われる科目だ。

私のMBAコースの授業はほとんどが決められた授業
(12科目11科目が必須)なので
だいたい同じようなメンツが揃うのだが、
今回は知っているクラスメートが少なかった。

なぜだろうと思っていると
隣に座ったクラスメートが、
今回の講師は厳しい講師なので
わざわざウーロンゴンの
同じ授業を受けに行っている
生徒もいるという話だった。

※シドニービジネススクールはウーロンゴン大のシドニー校で
ウーロンゴンでも同じMBAコースがある

向こうの講師のほうが、パスするのが楽だかららしい。

MBAを取ることが最終的な目的ではなくて
この授業でいかにたくさんのことを学べるかが目的なので
厳しいならば、それだけの期待に応えるべく頑張ればよい。


リスクvsリターン

「皆さんは、自分の自由時間をつかって簡単に儲ける方法を
教えます、という話をどう思いますか?」

「リターンを多くするということは、リスクが伴いますが
リスクを最小限にして、リターンを多くすることができれば
人より稼ぐことができるわけですが、もしそのような方法があったら
人にわさわざ丁寧に教えますよ、なんて言うと思いますか?

と講師。

なるほど・・・論理的な考え方だなと思った。

確かに、皆に教えれば皆が同じような方法でリターンを得ようとする。
「秘密の方法」を広めた段階で、希少性が無くなり、
通常のやり方と変わりないことになり、リターンも通常並みになるはず。

ファイナンスでは、市場こそが一番効率よく稼いでいると仮定します。

だから、長い目で見ると株の選び方で儲かるとか、金融商品で儲かるとかいうのは、
勝つときもあるし、負けるときもあるということだけで、
どんなに頑張ったって、株式市場の利率(リターン)以上のリターンを稼ぐことは
不可能だというのがいろいろな実験でわかってきました。

これを「効率的市場仮説」といって、
要は、持続的に市場リターンを上回る利益を上げることは不可能ということだ。

「投資のプロは目隠しをした猿に勝てない」と言うらしい。

実際にアメリカで、投資のプロが選ぶ株と、
素人が適当に選んだ株でどちらが利益をあげるかで
勝負したところ大して変りがなかったという話がある。

私もほんの少額だが、いくつかの株に投資している。
いろいろな情報をもとに先はどうなるかを予想して売買するが
確かに先のことは全く分からない。

増益が確実な再生可能エネルギーの会社に投資しても
その後、会計に不備があり、監査が入ったりした途端に
70%以上株価が暴落。

数字が良くっても、いろんな要素で下がったり、
上がったりするのが株なんだと
思い知らされた。


効率的市場のポートフォリオ理論

その点、ファイナンスの理論は、クールでエレガントだ。

ひとつひとつの株価を分析ぜずに、市場全体の動きと
それぞれ個々の株との関係性を分析して、
なるべく効率よいといわれる市場のリターンに近づけましょうと。

市場のリターンとは市場に出回っているすべての株=投資家が投資したお金から
生み出される総利益のことで、通常パーセントで表す。

例えば市場リターンが15%なら、100ドル投資して、
毎年15ドルのリターンがあるということだ。

市場リターンが15%のときには、いくつかの株を選んで投資することで
15%以上の稼ぎを得ることは長い目でみれば理論上不可能ということになる。

では、この最も効率よい「稼ぎ」に近づけるにはどうしたらよいか?
が一番気になるところだと思う。

このような疑問から生まれたのが、「ポートフォリオ理論」。

ポートフォリオ理論とは、いろんな種類の株を組み合わせてポートフォリオをつくると
ひとつ組み入れるごとに個別の株(企業)が負っている特殊なリスクが減っていき、
効率的市場のリターンに近づいていくという話。

市場のポートフォリオは、出回っている全ての株が入ったポートフォリオだから、
どんなに頑張ってもまねはできない。実際にはすべての株のリターンを算出するのは
難しいので、そのかわりに効率的市場のリターン利率を代表するが
ダウジョーンズや日経インデックスなどの選ばれた企業のポートフォリオから
出てくる数値が近似値として使われているそうだ。

だから一番効率よいリターンを目指すには、日経インデックスなど
市場を代表するポートフォリオに近づければ、リスクに対してリターンを最大に
することができる。


理論では、色々な種類の30銘柄以上を組み合わせると、
それぞれ固有のリスクがほぼ打消し合わされるので、
それ以上組み合わせを増やしてもリスクの大きさにはあまり変化がなくなるらしい。



いろいろな銘柄を組み合わせることをdiversification=多様化というのだが、
これは面白い考え方だと思う。

ビジネスでも「ダイバーシティ」がもてはやされているように
組織の活動でも多様な考え方や見方を受け入れることで
見えないリスクを打ち消し合い、効率よいパフォーマンスを目指すことができる。

自然界でも生物多様性があることで、効率よいエコシステムが成り立っている、
と言い換えることもできないだろうか。


ファイナンスに全く疎かった私には
ダウジョーンズだとか、インデックスとか
何のことかと思っていたが
株式市場の効率よい稼ぎが
今どれくらいなのかということだとは全く知らなかった。

投資に対するイメージが180度変わった。

企業のファイナンスもそうだが、
自分たちの少ない資産のファイナンスを
考えなおすきっかけにもなるなと思った。

これからの授業も楽しみにしている。



2015年2月4日水曜日

フィール・ザ・データ!!(Feel the data!!)

二つめ講義の初日

今日(2月4日)は、今学期の二つめの科目:ビジネス・アナリティクス
の講義の初日。

Business Analytics(アナリティクス)とは、近年ウェブの発達などで
顧客の消費行動などあらゆるデータが比較的簡単に取得できるようになり、
これらの膨大なデータを分析して、企業の意思決定に役立てることだ。

これらの作業は、数学者が統計学の理論などで計算する
専門性の高い作業だったのだが、
エクセルのスプレッドシートの普及で、私のようにまったく文系畑でも
ある程度のデータ分析や生データの解釈をすることができるようになったわけだ。


ビッグデータとアナリティクス

教授は、経済学のドクターで、数学者でもあるペレラ教授。
昨年のHead of School(学長)でもある。

「2013年にMBAコースをrevise(改編)するときに
この科目を提案したのですが、最初、誰も何のことか
あまり理解できる人がいませんでした

今、急激にニーズがあがっているエリアなので
メンバーの皆を説得してMBAコースに入れてもらいました」と教授。

去年、おととしくらいからビッグデータの活用が
大企業の課題としてよく話題になっていたが、
要は、統計学的な視点で、今まであまり活用されてこなかったデータを
統合して現状を把握し、未来を予測、仮説を立ててシュミレートしたりするのに使うのが
ビジネス・アナリティクスだ。

私たちはデータサイエンティストではないので、
複雑な方程式を立てたりまではやらないが、
会社に埋没しているデータを意味のある物語へ変えるには
どのようなコンセプトや手順が必要かということを学ぶことで
直観頼りのマネジメントをもっと客観的なエビデンスに
則ったものにすることができるわけだ。


Art of Number

「スプレッドシートにある数字を
棒線グラフなど見栄えの良い形に変えて
あたかも意味ありげにプレゼンするマネージャーがいるが、

データそのものが語るコトバをしっかり理解しないで
華やかな絵図で魅せても仕方がないよね?

columnやline chart にフォーカスする前に
まずスプレッドシートを前にしたら

一番に・・・・

FEEEEL the Data !!!


へ?データを感じよ?
て、一瞬教授がブルース・リーに見えた・・・

す、数字の羅列にしか見えませんが何か??



やはり数学者は、numberを感じることができるくらい愛しているのか。
データや統計の話をする教授はとても楽しそうに見えた。






"Don't think, first, FEEEL the data!"
by Professor Perera








オーストラリアMacDonald'sで成功した「リトルビット・ファンシーバーガー」


今週の月曜日、マーケティングの授業で面白かった話は、
オーストラリアのブランド牛肉「Angus Beef」について。

2000年はじめ頃、オーストラリアでは牛肉がコモデティ化して
値段競争が激しくなっていたそうだ。

Commodityとは、ガソリンや鉄鋼などどこから購入してもさして
品質など変わりがないので、消費者も供給元を気にせず、
安く提供されている業者から購入するようになる。

そうすると、供給元からしてみると
規模効率を追求して、コストを下げ、安く提供することでしか
利益が得られなくなってくる。

そこで、ブランディングというコンセプトが出てくるのだが、
オーストラリアの家畜肉協会が品質にグレードをつけて
それを認証する制度立ち上げ、普通の牛肉とブランド牛肉とを
差別化して売る戦略を立てた。2013年現在でオーストラリアの牛肉20~25%が
ブランド品として売られるまでになったそうだ。

そのなかでのAngusはブランド肉としてレストランでも、
「品質の高い美味しい肉」としてメニューにでてきたそうだ。
そこで、これに目をつけたマクドナルドがとった戦略が"Little bit fancy burger"。

ファーストフードでマックといえば、ブランド肉とは程遠い。
私なんかも、お金も時間もなくて、手っ取り早く食事を済ませようと思ったときに、
まわりに何もなければ、仕方なく入るぐらいにしか思っていない。
このような店で、Angusバーガーをちょっとプレミアムを付けて
安価で提供したところ、これが大ヒット。
ビーフ関連の商品売上を20%も伸ばしたそうだ。

レクチャーの中で出てきたキーワードは、
「コモディティのブランド化」と
「masstige=マス(大衆)とプレステージをかけた造語」。

マックの宣伝で、ちょっと小指がたってバーガーを食べてる宣伝は笑えた。
日本の場合、モスバーガーがあるから、この戦略は難しいのではないか。

こちらの動画を教材として視聴させてもらったのだが、
little bit fancyがどのようなコンセプトで生まれたのか、
コメディみたいて観ていて大笑いしたので、こちらに載せたいと思う。





究極のところ、Angusと普通のビーフの違いがわかるひとはどれだけいるのだろうか。
「踊らされる消費者」というイメージが拭い去れなかった。

「ちょっとだけ贅沢な車」とか「ちょっとだけ贅沢なホテル」に置き換えると
うーん・・・と腕くみしてしまう。