2015年8月25日火曜日

「できる」人ほど学ばない理由

学ばないクラスメート

MBAも3学期を終え、
早、最終章の4学期目であるT3に突入。

初めの学期には、年下のクラスメートが
小論文の書き方はどうしたらいいか?とか
どのようなアプローチでトピックを考えたらいいだろうか?など
年配ということで携帯で質問されたりしていたが、
さすがに3学期目は皆、自分がどのように課題に
アプローチしたらいいかわかってきたらしく、全く携帯が鳴らなくなった。

皆要領のいい人たちだから
一度やり方がわかったらあとは自分でその先のノウハウは
確立していくのが早いのだろう。

ちょっと頼りにされていたので、少し寂しいなと思っていた矢先、
20代のクラスメートから携帯にコールをもらった。

彼はいつも宿題提出の間際やExamの間際に電話してくる奴だ。

「Examでどこを勉強しておけばよかったんだっけ?」

要はヤマをかける場所を教えろと。

「俺は期末試験のために学んでるわけではないので知らん。」といつも言うのだが、
それでもしつこく「授業でどのチャプターをカバーしろと言っていた?」と聴くので

「そんなもん、全てウェブ上で教授が公開している資料があるから、
そこ行って自分で確かめろ!」

とあまりに幼稚な質問に頭に血がのぼってしまい、
携帯をこちらからブチっと切ってしまった。。。

同じ授業に彼もちゃんと出席していたのだから、
それ以上の情報は私も持っていない。

あとから自分も大人げなかったと、
自分のオーバーリアクションに反省したのだが、

彼が私に求めてきたのはExamの情報だけだったのだろうか・・・


ビジネスでの「学び」とは問題解決法

以前の私ならば、「失礼な奴」で終わってしまうのだが、
ここから何が学べるのかを振り返ってみると
「賢い奴ほど学べない」という現象の一部ではないかなと思うのである。

何が学べないかというと、技術や知識ではなく、
学び方自体を学ばないということである。

最近、ハーバードビジネスレビューで
「Teaching Smart People How to Learn(賢い人に学び方を教えること)」
という記事のなかで、賢い人や成功してシニアにいくほど
学ばない人々が多いというのを読んだのだが、
確かに要領のよい人、賢い人ほど学びとは何かを
理解していない人が多いのではないだろうか。

記事の中で、筆者はビジネス界で考える「学び」とは
問題解決能力のことと同義語だと思っている人が多いと思うが、
実はその問題の設定の仕方自体が問題になりえると。

MBAでもABC分析だの、ファイブフォースだ、SWOTだと
いろいろな問題分析のツールやモデルを学ぶのだが、
これだけではその前提としてある仮説や根本的な見解、
解釈がなぜあるのか?という問いには答えていない。


Single-loop Learning vs. Double-loop Learning

筆者は、最初のhow? What?という学びをシングル―プと呼び、
why?という大きな問いかけをダブルループと呼んで、
サーモスタットの例でわかりやすく説明している。

シングルループでは、サーモスタットが、27℃に下がったら
冷房が切れるというように、暑さという問題とそれに対する解決法しか存在しないが、

ダブルループでは、「なぜサーモスタットが27℃に設定しているのか?」と問いかけて、
省エネのため29℃に設定しよう!と、暑さの前提そのものの意味を
そっくり変えてしまうこともできる。

サーモスタットの例では、ダブルループ的学びも簡単そうに見えるが、
実は常に変化に富んだ不確実性の高いビジネスの現実では、
問題へのアプローチそのものに対して疑問を投げかける人はほとんどいない。
なぜなら今までの自分のプロとしてのアプローチの仕方を捨てなければならないからだ。


だから「できる人」ほど学べない

そこでとくに今までのやり方で成功してきた「できる人、賢い人」は、
失敗そのものを知らないので、失敗自体を恐れるどころか、
失敗を恐れることを恐れてしまっている。

特にこの傾向が強い人は、高校受験や大学受験でもストレートで志望校に受かり、
学業も要領よくこなし、いい成績で卒業、
就職もそれなりに有名な企業に入るようないわゆるエリート達は、
失敗に対する耐性がない。

これらのエリートたちのマインドセットは、

①すべてがコントロール可能だと思っている。
②勝つことを最大にして負けることを最小限に
③ネガティブな感情を抑圧し
④可能な限り理性的に対処しようとする。

しかし、世の中は常に変化している。

残念ながら10年前の、はたまた5年前のマインドセットのままでは、
今日の問題解決はできないことの方が多い。

現状の解決方法が叶わなくなったとき、
一番失敗から学ばなきゃならないちょうどその時に、
大きなディフェンスシステムが内側で働いてしまい、
学べなくなるのがこれらの賢い人びとなのである。


「失敗から学べ!」

シドニービジネススクールは、ウーロンゴン大学のサテライト校なのだが、
こちらシドニーのファイナンスの教授が厳しいという噂をどこかで聞いて、
シドニーから1時間半もかけて同じ授業をウーロンゴンに受けに行っているクラスメートが
何人かいた。その中に今回電話をくれた彼も入っていた。

私が思うに彼は賢こすぎるのではないか。
賢いだけに、不確実性や失敗に対する恐怖心を受け入れられないのである。

「失敗から学ぶ」。
コトバでは簡単に書けるが、
感情的には穏やかな状況では決してない。
自信もなくなるし、今までやってきたことが完全に否定され
この先どうしたらいいのか分からない状態も
失敗の大きさによっては長いこと続く。

正直な話、失敗はできればしたくない。
あんな気持ち二度としたくないと思うのだが、
学び続けるには、挑戦し続けなければならない。

ビジネスで「できる人」より、失敗から学び、挑戦し続け、
ビジネスで仲間を「インスパイアできる人」を私は目指したい。




参考文献
Argyris, C. (1991), 'Teaching Smart People How to Learn', Harvard Business Review, vol. 69, no. 3, pp. 99-109.





2015年8月17日月曜日

クラスメートの卒業、MBAも人それぞれ

一足早くクラスメートが卒業!

先週、学期の終了と同時にウルルへ妻とふたりで旅行に行って来たのだが、
たまたま同じ時期に日本人のクラスメートのS氏も偶然ウルルの旅行を
計画していたらしく、それならウルルで会いましょうということになり、
向こうで彼と彼の奥さん、私と妻の四人で夕食を共にした。

実はS氏は一足早く、今回の学期で卒業。

先月、香港の多国籍企業にあっさりと採用が決まり、
9月からの移動の前に
最後のオーストラリア旅行をということで、ウルルにしたらしい。


最初の目的はワーホリ

彼は2013年の11月からオーストラリアに来ていたのだが、
もともとMBAを目指してきたのではなく、
30になったのを機に心機一転で奥さんとワーホリで二年くらい
オーストラリアで暮らそうと思って来たらしい。

英語もそんなにできるわけではなかったので、
オーストラリアに行く前にフィリピンのセブ島で英会話の猛特訓を
2か月ほどしたのちに渡豪。

渡豪ののち、次の転職にも備えるかたちでMBAを目指すことにしたらしい。



途中でMBAに乗り換える

こちらのMBAに申請するのに最低限の英語力がないと入学させてもらえないのだが、
彼は半年近くかけて、バイトをしながら英語学校に通いIELTSの6.5以上を獲得
2014年の8月に私と同じMBAコースに入学。

夏休みの11月中旬から1月までのあいだ、
他のビジネススクールのサマーセッションを受けて、
こちらのMBAコースにトランスファー(移転)させるなどして、
通常18カ月で終わらせるところを1年で終わらせて、今回卒業まで漕ぎ着けた。




ジャズのような即興も人生には必要かも


興味深いのは、私のMBA計画とは違い、
1年先のことは全く分からないままで
不確実性の多い中でも着実に、というよりもその時はおぼろげながらも
結果的には自分の進みたい方向に行き着いてるというところだ。

2年前にシドニーに来た時には、2年後の今日のことなど
全く想像もつかなかったと本人も言っていた。

MBAを目指した理由も、ひとつには学歴に不満があったので、
「乗り換え」したかったと。

今回の就職先もMBAホルダーになる彼を
それなりに評価してくれたので、
他のオファーを探さなかったと言っていた。

彼にとってMBAは、人生を大きく変えるきっかけだったようだ。

10歳も年下の彼から
「挑戦てこういうものだったよな、若い頃は…」
あらためて思い起こさせられたような気がした。